【ナチスの秘密兵器】ユンカースJu-87 ”シュトゥーカ”

今から約80年前、世界を二分する大戦争があった。

一方はドイツ、日本、イタリアなどの「枢軸国」陣営。
もう一方はアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国を中心とした「連合国」陣営。

この戦争は「第二次世界大戦」として知られている。

第二次世界大戦は最終的に連合国陣営の勝利で終わったのだが、
戦争が始まってから1~2年の間はナチス率いるドイツがイギリス、フランス、ポーランドを相手に有利な戦いをすすめていた。

なかでもポーランドとフランスはあっという間にドイツに降伏。
ドイツとの本格的な戦闘が始まってから約1ヶ月後、ポーランドは首都「ワルシャワ」、
フランスも首都「パリ」を占領されて降伏してしまったのである。

そんなナチス・ドイツの快進撃を支えたのが、戦車と航空機の集中運用だった。
それまでの軍隊は歩兵と大砲が中心で、戦車や航空機といった新兵器はあくまで歩兵や大砲の支援をするための兵器にすぎなかった。

ドイツはこれらを積極的に利用し、軍隊の中心に据えることでイギリスやフランスといった並居る軍事大国を相手に無双していたのである。

ドイツ軍の快進撃を支えた「ジェリコのラッパ」

ナチス・ドイツの快進撃を空から支えたのが、「ルフトバッフェ」と呼ばれたドイツ空軍だ。

ドイツ空軍は地上部隊を支援することを前提に組織されていた。

敵の防衛ラインのなかでも守りが薄いところを空爆と砲撃で徹底的に叩き、戦車部隊が突入する。
そして、敵が混乱している間に後方にある重要拠点を一気に占領して、敵軍を総崩れにしてしまうのだ。

これがナチス・ドイツが得意とした「電撃戦」と呼ばれる戦法であった。

そのため、ドイツ空軍が使用していた航空機には地上部隊を支援する目的で作られたものが多かったのである。

なかでもそのことを最もよく表しているのが今回紹介する「ユンカース Ju-87 ”シュトゥーカ”」である。

この航空機は「急降下爆撃機」と呼ばれるもので、その名の通り急降下して地上のターゲットにピンポイントで爆弾を投下する。
敵の陣地や地上部隊を空爆して破壊することを任務とする航空機だ。

機体は急降下時の激しい空気抵抗に耐えられるよう、頑丈に作られていて、1トン以上の爆弾を搭載することができた。

Ju-87が急降下するとき、独特な形状の主翼がサイレンのような風切音を出したという。
その音は見方のドイツ軍兵士からは「ジェリコのラッパ」と呼ばれて頼りにされた一方で、敵軍兵士からは「悪魔のサイレン」と呼ばれて恐れられた。

対地攻撃に特化し、非常に優秀な性能をしめしたJu-87であったが、そのかわり速度や機動性は犠牲となり最高速度は310km/hしか出なかった。
同じ時代の戦闘機の最高速度が500km/h~600km/hだったことを考えると、空中戦ではかなり不利だったことがわかる。

終戦まで戦い続けた名機

Ju-87は、試作機が最初に飛行したのが1935年の9月のことだった。
第二次世界大戦がはじまったのが1939年の9月のこと。

この時代、航空機は毎年新しい機種が登場しており、4年も経てばすでに陳腐化していた。
つまり第二次世界大戦が始まった時点でJu-87は「旧式機」だったのである。

それでも地上攻撃において優秀な性能を示したJu-87は、後継機に恵まれなかったことも相まって1945年の終戦まで使用され続ける。

この機体を使用したパイロットのなかには、ハンス・ウルリッヒ・ルーデルのような伝説的なエースパイロットも存在し、数あるナチス・ドイツの航空機のなかでも最も活躍した機体のひとつだと言えよう。

第二次世界大戦を最初から最後まで戦い抜いた名機の存在は後世にも記憶され、2017年に公開された映画「ダンケルク」の中でもその恐ろしい影を見ることができる。

戦後はアメリカ空軍の地上攻撃機「A-10」などにこの機体のコンセプトは受け継がれ、その意味では今なお「Ju-87”シュトゥーカ”」は健在だと言えるのではないだろうか。